「全編真面目・特に『真面目な話』」

それで、あるホテルの場合にはウェイターのことをサービス・クリエイターと呼んでいるので御座います。その様なサービスのことで、ウェイター達の一つの仕事には、アレルギーを起こす食材などは料理に入ってはいませんか? などとおたずねになって来られるお客様へのご対応で御座います。

そうです、そのご対応で御座いますが、その場合には宴会マネージャーの者がお料理に含まれます、そのような食材のリストを持っておりますので、そのご説明までの対応をいたします。

また、そのウェイターの対応といたしましては、指摘されましたアレルギー食材の含まれるお料理はご提供しないか、あるいは代替えの材料で見た目は似通っているお料理をご提供いたしたりするので御座います。そのような事もまた大変大切な事で御座います。

お客様で激症アレルギー体質をお持ちのお方の場合には、もし間違えればそのお方は、お料理を口にされた途端その場で亡くなる事もあるからで御座います。喉元のどもとに湿疹が出来る程度のものでは御座いません。ですから、我々ウェイター達も命がけで御座います。

そんな理由でありましょうか? わたくしが若かりし時代の頃よりも最近では日本人のウェイターが少なくなり、東洋から西洋に至るまでの地域の国々の、肌の色も様々な外国人のウェイターが多くなりました。

また、こんな事も伝わっております。それは同じグループの他のホテルに於きましては、アレルギーを起こす食材が入ったお料理を実際に間違えてご提供されたために、お客様が御亡くなりになられてしまいまして、それで、そのホテルが即営業停止にされてしまった事も御座います。お亡くなりに成られたお客様が出たという事で、ノロウイルスの場合よりも長期にわたり何年間にも‥‥‥、その時は、そのホテルはほぼ全館閉鎖状態になりましたので御座います。

サービス・クリエイターは更に、きわめて上流階級の御年配の御婦人の方等の場合で、充分にテーブル・マナーを御存じである筈はずの御客様の場合で御座いましても、その時の食べ残した御料理をお下げしても良いというようなサイン、つまりナイフ類の刃を上向きにそろえて皿の上に置かれているような時でありましても、その御料理だけでなく周囲の状況から推しはかって御下げしない場合が御座います。

ですから特にそのような時には念を押してから、御下げ致しますので御座います。それがベテラン・ウェイターというもので御座います。その様な事は、わたくしは超ベテランで御座いましたから、例えば外国人ウェイターで黒人の、姿だけはスパルタンで美麗な男性の若い者には決して負けは致しません。

わたくしも年配者では御座いましたが、認知症! などとは口が裂けても申してはイケナイ言葉では御座いますが、それでは無く、そのような事を推し量らなくてはいけない御気楽な性格の御方は、極上流階級の人々の中には多くいらっしゃいます、それをわたくしは知っておりましたのですから‥‥‥。