ニューキノロン系抗菌薬とNSAIDsの併用

前項の最後でニューキノロン系抗菌薬(以下、NQとも略)が出てきましたので、ここではNQの相互作用の話題を取り上げます。ニューキノロン系抗菌薬は脳内の抑制系神経GABAA受容体を阻害するため、単独でも痙攣発作を引き起こす可能性があり、さらに消炎鎮痛解熱剤のNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が、NQ系薬の阻害作用を増強するとされています。従って、これら2系統の薬の併用は併用禁忌であったり、併用注意となっています。

最近では一部のNSAIDs(メフェナム酸;ポンタールⓇ)であれば併用しても安全という報告があるようです。そこでニューキノロン系抗菌薬とNSAIDsの併用について、現状はどういう状態なのかを添付文書と無作為に選んだ文献から私なりに考察してみました(パスカラニュース172号では一覧表を掲載)。

添付文書からの情報

1.併用禁忌の組み合わせは、下記の4つの組み合わせのみになります(右側がNSAIDs)。

・シプロフロキサシン(シプロキサンⓇ)⇔ケトプロフェン(同名ジェネリック薬Ⓡ)

・プルリフロキサシン(スオードⓇ)、ノルフロキサシン(バクシダールⓇ)、ロメフロキサシン(バレオン)⇔フルルビプロフェン(フロベンⓇ)

上記のNSAIDs2剤はいずれもプロピオン酸系に属します。


2.併用注意の組み合わせは、NSAIDsの中で下記の2系統に限定されています。

❶フェニル酢酸系

代表的薬剤としてジクロフェナク(ボルタレンⓇ)などがあります。

❷プロピオン酸系

代表的薬剤として(1)以外にロキソプロフェン(ロキソニンⓇ)、イブプロフェン(ブルフェンⓇ)、プラノプロフェン(ニフランⓇ)、ナプロキセン(ナイキサンⓇ)、ザルトプロフェン(ペオン/ソレトンⓇ)などがあります。

3.併用注意の記載がないNSAIDsは上記2系統以外の全ての系統になります。

使用頻度の高いと思われる薬剤としてはエトドラク(ハイペンⓇ)、インドメタシン(インテバン坐剤Ⓡ)、メロキシカム(モービックⓇ)、セレコキシブ(セレコックスⓇ)、メフェナム酸(ポンタールⓇ)、アセトアミノフェン(カロナールⓇ)、アスピリン・ダイアルミネート(バファリンⓇ)、チアラミド(ソランタールⓇ)などが挙げられます。