次に、同じ授業を受けたBさんのシートを見てみる。

(a)B さん(高校1 年)のレスポンスシート(その1)
(b)B さん(高校1 年)のレスポンスシート(その2)

このうち(a)は5月時点、(b)はおよそ1か月後の6月時点のものである。

両者を比べて一目で分かる大きな違いはメモの取り方である。(a)でもそれなりにメモは取れているが、レイアウトがやや煩雑で講義のストーリーが分かりにくかった。それが(b)になるとマンガのようにコマ割りしてメモを取るようになっている。書かれた文字も(a)(b)を比べると後者の方が若干ていねいに書かれた印象がある。

これらは私がアドバイスした訳ではなく、漫画研究部に所属するBさん自身の創意工夫によるものである。これ以降、Bさんは(b)のスタイルでシートの作成を継続させた。

このように、書く内容は毎回異なってもその形式を同一にしておけば、作業を続けさせることで学生・生徒の変化を読み取ることができる。

もちろん、学生・生徒の変化はメモのレイアウトやまとめの文章の表現力ばかりではない。文章構成の基本である漢字や文法の初歩的ミスでも変化を捉えることができる。ある時点でこちらがミスを指摘して次回以降に同じミスを犯さないかどうかを観察することでも、彼らの変化を捉えることができる。実際、この授業を受講した生徒たちにも漢字などの初歩的ミスは見られた。しかし、私が指摘して以降では同じミスを犯す者はいなかった。

一般に、SGHに指定される高校はいわゆる進学校が中心である。彼らは基礎学力がそれなりに備わっていると認知されているが、その延長線上に捉えられるまとめる力や、ミスの修正能力、ミスしない注意力もある程度備わっており、それがシート作成に反映されることを表す好例だと言える。