心臓系の副作用
各薬剤のアセチルコリンによる過剰な作用によって洞房結節や房室結節のムスカリン受容体が刺激され、その結果抑制的な作用となり、電気信号の伝達速度が減少し徐脈になります。さらに徐脈がQT延長の原因となり、心室頻拍などの重篤な副作用を引き起こすことが知られています。
❶ドネペジル
重大な副作用の数の多さから見て、心臓への副作用が他薬より大きいらしいと分かります。副作用が多い分、薬理作用の強さを反映して、他剤にはない重度の症例への適応を可能にしているのかもしれません。
❷ガランタミンとリバスチグミン
不整脈の項目数は同じ(4個)ですが、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)に関する限りリバスチグミンの作用が強く出ています。いずれの薬剤もアセチルコリン本来の作用である心臓への負荷には気を付けるべきだろうということが分かります。
消化器系の副作用
アセチルコリンは腸管を収縮させて腸管運動を活発にします。また胃では胃酸分泌を亢進します。その影響が消化性潰瘍などの副作用と連動していると考えられます。
❶ドネペジルとリバスチグミン
同じ項目数(3個)の副作用が見られます。ドネペジルはもともと作用が強く、リバスチグミンのターゲットとなるブチリルコリンエステラーゼは血清中にも多いことから、末梢性の副作用も出やすいのかもしれません。なおリバスチグミンはもともと消化器系副作用が強いため、内服薬から貼付薬に変更になった経緯があります。
❷ガランタミン
消化器系の重大な副作用がなく、他の2剤と比べて穏和な印象を与えています。