心理的な豊かさを得る

産む力と生まれる力の体感

A・Cさん、C・Aさん、D・Aさん、H・Aさんは、プライベート出産をとおして子どもの生まれる力を体感できたことに大きな満足感を得ていました。

彼女らの選択した出産方法は、C・AさんとD・Aさんは水中出産で、A・Cさんの場合は、疲れて横になっているうちに自然のいきみが起こり、子どもが下がり出てくるのを感じ取った体験です。

彼女らの共通点は、自分の力で能動的・主体的に産んだ(産めた)ことに喜びを見出しているのではなく、子どもの生まれてくる力に身を任せ、それを感じ取ることができたことへの喜びの表出でした。

特にH・Aさんは、誰の介助もなくひとりで出産し、自分で子どもを取り上げ、「生まれ出づるわが子を受け止めたことの実感」から得られる喜びを表出していました。

他方、医療の管理下にある現代の一般的な出産は、例えばD・Aさんが第1子の出産時、同意を求められることなくお腹を圧され、会陰切開をされたように、医師主導の出産であり、このような出産には、産んだという実感がありません。

その上に、創部の痛みによる身体的苦痛と「圧しだされた」ことへの心理的苦痛を伴い、この子が(自分の力で)生まれたという実感は伴いません。

そのD・Aさんは、第2子を助産所で出産したものの、呼吸法やいきみ方を誘導され「やりきった感がない」出産体験となっていました。

その理由は、助産師の立会いによる助産所あるいは自宅出産も、医療的介入はないものの、本人が子どもの生まれる力を感じ委ねて産むことよりも、助産師の考えや介助法が優先されるためと考えられます。

プライベート出産は、リラックスできるプライベートな環境(場所や立会い者)を選択して臨んだ出産で、その結果、自由な姿勢で子どもの生まれる力を感じながら出産できたことへの満足が得られた体験です。

逆に言えば、女性にとって満足の得られる豊かな出産とは、子どもの生まれる力を感じながら産む出産です。これは自律的な子育てにつながることが重要です。

そして、女性が心身の生理的メカニズムが発揮され満足のいく出産を体験するためには、立会い者の選択は重要です。