「出せなかった両親への手紙」

お父さん

わたしが「ごめんね」といったら「すまんな」と返してくれましたか

いちばん多感な時期をあなたと過ごせずさみしかった

私の成人式忘れていたよね

晴れ着を着たかったわけじゃないけど「おめでとう」の言葉ぐらいはほしかったな

お母さんわたしが「ありがとう」といったら「ありがとうね」と返してくれましたか

元気だったころ祖父母と父に怯えているあなたが哀れでした

人間って話し合えると思います家族ってもっとわかり合えなくちゃと思います

過去には時間は戻らないけど笑って「ありがとう」といえる人になります

先祖に感謝します私を産んでくれてありがとうございました

親子関係について思うこと

親とうまくいっていないあなたへ

憎悪は愛情の裏返しです。私がそうだったから、わかるのです。時勢が違ったからなのでしょう。私には父とも母とも手をつないで歩いた記憶がありません。

その代わりに、祖父と散歩した思い出が記憶の片隅に残っています。よくインターネットなどで、親にもっと〇〇してほしかったという言葉を目にします。匿名であるがゆえに、本心だと思います。

ご両親から独立されている方はぜひ、ご両親が健在なうちに気持ちを言葉にして直接伝えてください。特に、父親には「なにをいっているんだ」と、最初は跳ね返されて聞いてもらえないかもしれません。でも私は、心の底にあった本当の気持ちを話すことが、親との溝を埋め、円滑な介護と看取りを進める重要な鍵と位置づけます。

私は父に、怒鳴られても怒鳴られても、最後は向かっていきました。母は難病で、危険な局面も多かったため、ちゃんと話すことができずにいましたが、最期を報せてくれたのは、気持ちが通じていたのだと勝手に理解しています。