自分はどうしたらいいかと?

山川草木悉有仏性 尽十方無碍光如来

身を投げるのよ

空に雲に山に水に樹に石に花に虫に魚に鳥に獣に人に

身を投げるのよ

身を投げ身を捨て身を明け渡し それでも息があったら

山になって山の眼で山を 木になって木の眼で木を

水になって水の眼で水を描け

何が見えるのかと?

刹那無常 諸法無我

ゆく河の流れは絶えずしてもとの水にあらず」

止まることなくながれている無常の生

表現者はその無常の生を見つめ 変化する生の無常を描く

たえず身を投げ己を捨て己を入替え決して止まらない止まってはならぬ

一つとして同じ絵を描いてはならぬ同じ自分などは要らぬ

このわしはここまでに三十六度悟りを開き 三十六度己を捨て

大悟十八度び 小悟数知らず

今も己を壊し己を捨て己に帰って晴れ晴れと生きておるがの

「美」に会ったら美を殺せ

「仏」に会ったら仏を殺せ

「己」を知ったら己を殺せ

昨日の美は今日の美ならず 美醜の二項対立で論じる美などあらず

仏と衆生の二項対立の枠組みを捨てぬかぎり真の覚醒にもいたらず

逢仏殺仏 逢祖殺祖 逢羅漢殺羅漢 逢父母殺父母 始得解脱 不興物拘 透脱自在

法界一如 すべての存在や現象は一つのいのちの表現である

描くものも描かれるものもおなじく愛しい いのちの働きである

人間が勝手に線を引いて区別する善悪や美醜や常識に区分できるものじゃないぞえあ

なに風神雷神の絵―?

押しかけていって風神雷神に直接

話してみよ

聴いてみよ

頼んでみよ

自画像を描いてくだされまいかとのお

風神雷神に身を投げて

それでも息があったら 聴いてくれるだろうずら!

ウハハハハハ

うん尾形光琳の風神雷神を模写するのか?

光琳は俵屋宗達の模写だぞね

その模写の模写をするのか

それならもう来るな

◆むかし酒井抱一という絵師がいました

「風神雷神」の屏風絵を描くように 頼まれ

悩みになやんだ末に師筋にあたる尾形光琳の「風神雷神」を模写しました

こうして後の時代に有名になった「国宝」である俵屋宗達の「風神雷神」、それを模写した尾形光琳の「風神雷神」、またそれを模写した酒井抱一の「風神雷神」が生まれました

しかし 抱一に模写することを諫めてさんざん悪口を叩いてコーチした

和尚の存在は 誰も知りませんでした

とさ