ニホとはたまに、メッセージのやりとりをした。会って食事をすることもあった。神﨑は大学院に通いながら件の「夢占い」のアルバイトも続けているらしい。ニホは客と神﨑との「仲介役」をしているとのことであった。
「仲介って、何をするのよ」
よせばいいのに、つい訊いてしまった。
「興味本位の依頼は断ったり、時間の調整をしたり……まあ、マネージメントよね」
そう言いながら、ニホは得意げな顔をした。最近、ますます自信がついたようで、なんだか腹が立った私は、
「あっそ」
と、自分から訊いておきながら素っ気ない返事をした。
「そんな怪しい仕事、調整しなきゃならないほど依頼が来るの?」
「怪しくないよ。これで論文も書くんだから」
そんなもので論文など書けるものか、書いたとしても相手にされないだろう、こんな怪しいカップルとは今のうちに縁を切っておいた方がいいかもしれない……などと考えているとニホが言った。
「あのね……実は昨日、申し込まれたの」
「何?」
「静真さんにプロポーズされたの」