日本の漢字仮名交じり文化が果たした西欧文化輸入の功績を再認識する
アルファベットは表音文字であるのに対し、漢字は表意文字である。
我々は、“happy”という単語を見ただけでは何の感情も湧かないが、“幸せ”という単語を見た途端に和やかな嬉しい気持ちになる。その理由は「幸」という漢字が、幸せな状態にある人間の姿を簡略化して作られた記号だからだ。漢字仮名交じり文化の優位性を、より広範な視点から論じた文章を見つけたので、かいつまんで紹介したい。
論者は、慶應大学湘南藤沢キャンパスに通う理系の大学院生なのだが、次のような考察をしていて興味深い。
「外来語を素早く表音文字のカタカナで取り込み、意味を把握したら表意文字の漢字で造語を創る。初めて見るような単語でも漢字であれば、単語の意味をイメージし易い。また、漢字の特徴の一つとして高い造語能力がある。表意文字の漢字同士を組み合わせる事によって未知の知識、西洋からの概念群に対応する造語を造り出す事ができた。
もし、これらの造語創出が無かったら、世界の多くの国が抱えている問題に日本も直面したことだろう。それは、母国語で大学以上の高等教育を行えないという事態だ。なぜなら、そう言った国々では、母国語では、高等教育における科学技術や専門学等で使われる多量な学術用語が不足しているため、大学レベル以上の科学や技術、専門学等に使われる教科書は英語やフランス語、ドイツ語等の外国の教科書に頼らざるを得ないからだ。