私が考えていた両親の終わり

テレビドラマのようには、人間の一生は終わりません。父も母も最後は苦悶に満ちた表情をしていました。

私は「なんとか痛みだけでも取ってやってください」と、両親それぞれの担当医に何度も何度もかけあいました。

二人とも言葉も発せなかったので、痛いところがあるのだろうと推測した私の気持ちはなかなか医師には伝わりませんでした。病院はギリギリの人数で仕事を回しているのでしょう。ある看護師にいっても、担当医には申し送りがされていませんでしたし、「当院はしっかり看護を行っています」と、かなり強い口調でいい返されました。

看護師の方いずれにも、強い疲労の様子が見て取れましたので、私はそれ以上のことはいうのを控えました。それでも、重症の高齢者、まだ言葉が発せない小児など、ナースコールを押せない患者がいるのも事実です。特に重篤な患者が運び込まれる救急指定の病院を中心とした医療機関の皆さんは、人の死に慣れないでいただきたいと思います。

入院しているのは、一人ひとりが家族にとって、かけがえのない人間なのです。