俳句・短歌 句集 2021.12.08 句集「八ヶ岳南麓」より三句 句集 八ヶ岳南麓 【第40回】 浅川 健一 八ヶ岳の麓で暮らす医師の、四季折々の俳句集 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 水仙や寺に一番乗りのバス 冬草の畔崩したる靴のあと 空つぽの堰に水来る野焼かな
小説 『アイアムハウス』 【新連載】 由野 寿和 静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた 午前十一時。サイレンを鳴らさず、車両は静岡県藤市十燈荘(じゅっとうそう)に到着した。静岡中央市にある県警本部から十燈荘までは、藤湖をぐるっと大回りして藤市経由でトンネルを通り、小山を登ることになる。藤湖を見下ろす高級住宅街、十燈荘は、土曜の昼だが活気はない。既に外部への交通規制が敷かれているとはいえ、不気味に静まり返っている。ここで殺人事件があったことを、住民達が知っている気配はなかった。その家…
小説 『TOKYOリバーサイドストーリー』 【第7回】 東 晃司 小さいころから一緒にいるのに、誰も言い出せずにいた思い。一通のラブレターが募らせる不安 「行け、行け、行け」マコトのお父さんが今にも死ぬかと思わせる叫び声をあげながら、応援しているのを見て、やっぱり息子が活躍するのは、うれしいんだろうなと思った。「出るぞ、出るぞ」部員たちがざわざわし始めた。見るとマコトが相手の後ろに手をやり、腰から相手を持ち上げようとしていた。僕がユーに「あれって、プロレスのバックドロップじゃないのか」と言うのもつかの間、本当にマコトはバックドロップのように相手を…