愛の癒しの力
フォールは茫然自失状態で目が覚めました。まだ真夜中でした。
「信じられない。これは、悟らせるための夢だ。愛の癒しの力を悟らせるための」
とフォールは思いました。夢の中で、フォールが男の感情を通して体験させられた愛は、男と女を超えた愛、まさに大文字で書かれた「愛」の波だったのです。
彼の脳裏には、顔をしわくちゃにして、全てを手放し、解放する情熱的な「愛している!」の瞬間が刻み付けられていました。それは、かくも見事な癒しの奇跡の瞬間でした。突然、喜びに溢れた声が、彼の耳元で嬉し気にささやきました。
「彼は生まれて初めて、やっと人生に愛を受け入れた瞬間に、愛が体に入ってきたのだ。他者を愛することで、彼は自分自身を愛することができたのだよ」
その懐かしい大好きな声、大好きな守護の天使エマニュエルの声に、フォールは、思わず大声で叫んでしまいました。
「エムさまでしょう! わぁ、またお声が聞けて嬉しいです! エムさまの声が聞きたくて、聞きたくて、たまらなかったんですよ!」
「いつもそばにいるのに、どうしてそんなに恋しがるのかね、フォール。わたしは在るだよ、忘れたの?」
「あぁ、そうだ! でも、何でもいいです、とにかく本当にまたお声が聞けて、嬉しいです」
「で、夢はどうだった?」
天使は尋ねました。
「夢? あぁ、それはもう、素晴らしかったです、エムさまも見たでしょう? 夢があんなにすごいなんて……あの男の人の心で起こっていることがすべて、ぼくの体験として感じられたんです!」
「わかっているよ、フォール。わかっているが、お前の口から話してくれないか?」