集中の力
フォールは、小さな長方形の部屋で、数人の学生たちと低いテーブルを囲んで座っている自分を、見ていました。学生たちはみな、どこか違う国から来ていたようで、それぞれ異なるアクセントで英語を話していました。テーブルの端には、ブロンドで長髪の、ちょっとくだけた感じの先生が座っていて、完璧な英語で話していました。
先生は、これからアーチェリーを見せると言いました。
フォールは先生から4~5人目の右側に座っていました。先生は、夢中になって、これからしようとすることに神経を集中していました。
先生は弓と矢を手にし、床に膝をついて、体と顔をややテーブルに向けたと思うと、弓を後ろに引きました。
その時の先生の目は、これまでフォールが見たことのないほど真剣に、矢の先端を見つめていました。まるで目から二本の光線が矢の先端に向かって放たれていたみたいで、それくらい先生は集中していたのです。すると突然、フォールは自分が先生の空の、全く空白の意識の中に入り込んでいるのに気づきました。そして、もう一人のフォールは、上から眺めていて、先生の目の激しさに完全に心を奪われていました。
すると、なんとまぁ驚いたことに、信じられないことが起こったのです。