2019年秋のラグビーワールドカップの日本代表は、31人中15人が外国出身であったことを思い起こしてほしい。

さらに、新卒一括採用から通年採用への変換である。通年採用とは、企業が年間を通じて新卒・中途を問わず、自由なスケジュールで行う採用活動であり、その対極にあるのが、日本で主流の「新卒一括採用」である。企業が同じタイミングで横並びに新卒採用情報を解禁し、卒業した4月に一斉入社する方式である。横並び・協調性の権化とも言っていい。新型コロナウイルス禍にかかわらず、4月入学に加え、9月も含んだハイブリッドの入学も選択肢の一つである。

日本では、芝居や演奏会で感動するほどでない演技演奏でも、必ず「みんな一緒」のアンコールの拍手をする。みんな一緒の感動などめったにはない。満足する演奏でなかったら、それなりの意思表示があっていい(注7)。

そして最後の仕上げは、新年功序列からジョブ型への移行である。世界では、責任や役割で報酬を変える「ジョブ型」が一般的である。

日本の初任給に相当する大卒入社1年目の基本給(年額)を各国で比較すると、米国が平均632万円、ドイツで534万円、日本の262万円を大きく上回っている。終身雇用が前提の日本はスタート地点の初任給が抑制されている。

世界との競合にある今、給与システムの見直しは時間の問題である。SONYでもGAFAを意識して初新卒で200万円近い年収差になっている(注8)。東大卒業後は、霞が関の官庁や大企業に行くのが常識となっていたが、「優秀な個人ほど起業する」のが今の東大をはじめとした主要大学の常識になりつつある。

優秀な人材にとって「出る杭」を活かし切れない旧来型の大組織は、魅力を失っている。自ら考え、起業し、真っ向勝負を挑んでいる若者らに、大いに期待したい。