PQQは空間認識能力を上昇させ、眠気や気分を改善する効果がある

〈ストループテスト「PQQを摂取した人」と「摂取しなかった人」の比較〉

写真を拡大 [図表]ストループテストのグラフ

ワーキングメモリーとは、作業に関連する記憶のことをいいます。

たとえば買い物に行って何を買うつもりだったのか思い出せない、何かをしようとして立ち上がったけれども何をしようとしたのかが思い出せない、買い物をしておつりの計算ができない!、といった状態はワーキングメモリー(作業記憶)の能力が低下している状態です。

テストは四つのサブテストから構成され、漢字がもつ意味と異なる色のインクで印刷された文字を見て「インクの色」を答えるなど、ステップが進むにつれて複雑な情報処理能力が問われます。

いずれのステップも70問で構成され、解答を出すまでの所要時間が短いほど「脳の機能が高い」ことを示します。

テストの結果、PQQ摂取グループは、非摂取グループにくらべて、12週目のストループテストでは平均で約7秒もの所要時間の短縮が見られました(図D)。

これはPQQに情報処理能力を高める効果があるからだと考えられます。

その他、タッチパネルを使って認識機能を調べる「タッチエム試験」(認識機能評価支援システム)でも、PQQを1日20mg摂取して行うと成績が向上することが確認されています。

タッチエム試験とは、タッチパネル上の図形が順次点灯し、点灯が終わった後に点灯順通りにパネル上を正しくタッチしていく試験のことで、注意力やワーキングメモリーのほか、点灯した図形の位置を認識する「空間認知能力」も含めた評価になります。

この試験では、多くの人が満点近くを取ってしまうので、もともと点数の高い人ではPQQの摂取による効果が見えづらいのですが、点数の低い人ではPQQ摂取によって点数が高くなることが確認されています。

ところで、脳機能が低下すると空間認知能力も低下し、その結果、日常生活に大きな影響が出てきます。

例えば、高齢者が車から降りる際に、車から出した足をゆっくりと慎重に地面につけている様子を目にしたことはないでしょうか。

これは、高齢者は単に運動機能が低下しているだけではなく、脳機能が低下することで車から地面までの距離感に狂いが生じてくる(=空間認知能力が低下する)ために、距離感を測りながら足をゆっくり動かす必要があるからです。

階段を下りる場合も同様で、この距離感が狂っていると、なかなかスムーズに降りられません。

横断歩道を渡る場合にしても、車までの距離感に狂いが生じることで、歩くスピードが落ちるだけでなく、安全と思っていても、感じているよりも近くまで車が来ている場合は事故につながりかねません。

このように、脳機能が低下すると、単に物忘れだけではなく、空間認識能力も低下し、日常生活において命にかかわるような大きな影響が出てくるのです。