都市のレクリエーションは臨海立地型に
臨海部に拡大し進出するのは、都市機能だけではありません。レクリエーション施設を海辺の埋立地に展開しています。
隅田川の東側から見てみましょう。戦前の昭和時代に塵の埋立地だった夢の島は、その名前に相応しい緑の生い茂る島に変身し、夢の島マリーナ、野球場、塵焼却場の熱を利用した東京スポーツ文化館、熱帯植物館が誕生しています。夢の島の西隣には辰巳の森海浜公園があり、その中に豪華なドーム型の東京辰巳国際水泳場があります。
更に東雲のマンション群の西側の有明にはテニスの有明コロシアム、そしてお台場の手前に有明スポーツセンターがあります。新木場の貯木場の南側の埋立地(15号)に若洲海浜公園が造成され、そこにはゴルフ場、キャンプ場、ヨット訓練所、サイクリングロードがあります。
更に、お台場の南側には有明埠頭、青海埠頭という巨大な貨物船が接岸出来る波止場が建設されていますが、これらの産業用に建設された波止場にも、水の広場公園、青海南埠頭公園という、東京港を一望できる長大な海浜公園が作られています。
東京湾は穏やかな内海であり、その海岸線が長く湾曲していたことで、東京はウォーター・フロント開発の機会に恵まれていました。隅田川の西側では、東京貨物ターミナルの西側に、広大な大井埠頭中央海浜公園がありますが、この公園は、京浜運河に面しているので磯遊びや魚釣りが出来ますし、海浜には飛来する野鳥を観察する場所があります。
またナイターのできる野球場、テニスコート、陸上競技場も備わっています。平和島競艇場の南隣には、平和島公園と平和の森公園とがあります。
この二つの公園は平和島に所在するでのその名前が付いているのですが、平和島の名前の由来は、敗戦後、この地に連合国の東京捕虜収容所が設置されていたことに因んで、平和を祈念する趣旨で命名されました。
平和島公園は、樹林に囲まれた小高い築山がある公園で、四面の野球場を持っています。
平和の森公園は、南北に細長い公園で、公園内にはアスレチック場、アーチェリー場、テニスコートなどがあり、同じく樹林に覆われた緑深い公園です。
平和の森公園が長く伸びた南端には、運河の海水を引き込んだ、白い砂浜を持つ、大森ふるさとの浜辺公園があります。これら三つの大きな公園(平和島公園、平和の森公園、大森ふるさとの浜辺公園)の他に、京浜運河の東側に二十五ヘクタールの広さを誇る東京港野鳥公園があります。ここも埋立地ですが、そこに雨水が溜まって自然の池が生まれて、その池に野鳥が集まるようになったことが始まりでした。
ここには飛来する野鳥の種類も多く、バードウォッチングの名所になっています。園内の大部分は樹林に覆われており、池の周辺には蘆が生い茂っています。園内の数ヶ所に身を隠して野鳥を観察出来る小屋が設置されており、小さなのぞき窓からカメラを構えて野鳥を撮影できるようになっています。
江東区は南の海に向けて埋立地を伸ばし、大田区は東の海に向けて埋立地を伸ばし、その先は現在埋め立て中の中央防波堤埋立地です。この埋立地はゲートブリッジで江東区の若洲海浜公園とつながり、海底トンネルで大田区の城南島海浜公園とつながっています。首都東京の臨海部は、世界でも珍しい豊かな緑に包まれたレクリエーション地帯となって、まだまだ発展します。