いささかむっとした表情でハマーシュタインは答えを終えた。すかさずワイズマンが質問を繋いだ。

「それではミスターハマーシュタイン。ハリウッドがインド映画をその影響下に置こうとするその流れの中でこのたびの提携の形となったのは、アメリカ資本のインド映画に対する勝利とみなしてよいものでしょうか」

「君たちアメリカのマスメディアはどうしてそうなんだ。アメリカ以外の他国に対してそう居丈高(いたけだか)になるものではない。我が国は確かに映画の発祥国(はっしょうこく)ではある。しかし今日映画は世界全体に波及し、その国の文化の一端を担うまでになっている。今や逆輸入の形でアメリカ映画に影響を与えていることさえある。勝利云々などとはお門違いもよいところだ」

ワイズマンはいささか不満げに質問を打ち切った。次の質問者が立ち上がった。

「ウォールストリートタイムズのアラン・フォートワースです。このたびのここコルカタでの制作発表は映画の制作が始まった段階で行われようとしています。すでに製作中の映画をどうして今、大々的に我々の前で制作発表しようとなさるのか、その真意をお伺いしたい」