会員増強の障壁
(3)その年度の会長、幹事にヤル気がないこと
会長や幹事のなかには、会員増強に対してまったくヤル気のない人たちがいる。
小さいクラブで会長が二度目だ、三度目だ、という人ならば仕方がないような気もするが、何とか無難に一年間を過ごせればいいか、というような会長、幹事が率いるクラブでは会員の士気も上がらず、ジリ貧に陥ることは避けられない。
そういう会長たちに会員増強の必要性を説明すると、
ⅰいま、うちのクラブは皆で楽しくやっているのだから余計な忠告はいらない。
ⅱ新しい会員が入ると、いまのクラブの和が乱れるかもしれない。
ⅲうちのクラブは定員を三○人と決めているから(三○人くらいが皆が分かり合える適正なサイズだから)、それを超える会員は入れない。
などと非難されることがある。
実際のケースに、このⅰからⅲまでが揃っていたクラブがあって、その一○年後に僕が地区ガバナーとしてこのクラブを公式訪問した際には、そのクラブの会長が暗い顔をして、
「あの時、田中さんの話を聞いて会員増強に励んでおけば良かった」
と述懐していたのを思い出す。
一〇年経てば会員の平均年齢は当然一○歳増え、皆がお爺さんになってしまったクラブにいまから入る若い人はいない、皆で楽しんでいるうちに、そのクラブは若い人に対して魅力を失ってしまったのだ。
若い人にすれば、あえてこのクラブを選ばなくても、近隣にもっと魅力的なクラブはたくさんある。ロータリークラブの「浦島太郎」物語だ。
(4)女性会員を入れられないこと
全世界のロータリアンのうち女性会員の比率は二三・七%、日本のそれは七・○四%である(二○二○年六月)。
日本のロータリークラブは女性会員の占める割合が圧倒的に少ない。その傾向は、多くのクラブを回っていて気づくのだが、どちらかというと地域のなかで老舗といわれるクラブに多いようだ。
ひどい話になると、大企業の支店長が入っている老舗クラブでも、その支店長に女性が転勤してくるとその女性はクラブに入れず、数年経って次の男性が支店長になるまで待つ、というところもあると聞く。
その理由を聞くと、前述のⅰからⅲまでの理由の女性バージョンを言う。女性を入れるとクラブの和が乱れるという理由だ。
特に、シニア会員にそのような気持ちを持つ人が多いようだ。
いまの時代、女性が会長になるクラブ、女性がガバナーになる地区、女性がRI会長に就任(30)する時代だ。