さまざまな病気の原因となる活性酸素

ミトコンドリアがエネルギーをつくり出す工場だとしたら、活性酸素はエネルギーをつくる際に出てしまう有害な排水や排煙のようなもので、エネルギーをつくればつくるほど、どうしても活性酸素が発生してしまうのは避けられないことなのです。

多くの生物は酸素を取り込み呼吸することでエネルギー代謝を行っていますが、この代謝の過程でも活性酸素は発生しています。

また紫外線、喫煙、車の排気ガス、電磁波、放射線、環境ホルモン、殺虫剤、農薬、ストレス、栄養素の不足などによっても体内に活性酸素が増えます。

活性酸素とは文字通り、「活性がある酸素」、つまり酸化力の強い酸素です。酸化とは、その名のとおり、酸素がほかの物質と結びついて化学反応を起こすことをいいます。

金属が錆びることも、ものが燃えるのも酸化の一つです。

私たちの体の構成成分であるタンパク質、脂質、DNAなどが酸化し機能が低下することで、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病にも結びつくと考えられています。

健康な状態であれば、質のよいミトコンドリアがつくり出されて、余分な活性酸素を体内の酵素によって取り除くことができますが、加齢やその他の理由でミトコンドリアの量が減少し、しかも、ミトコンドリアの機能そのものに異変が生じるようになると、活性酸素を除去する能力が衰えてきます。

そうすると、ミトコンドリアで作られるエネルギーの量も減ってくるので、さまざまな病気が起こりやすくなるのです。

事実、健康な人とそうでない人の違いは「ミトコンドリアの量」にあることがわかってきています。これは当然といえば当然です。ミトコンドリアの量が多ければ、そのぶんエネルギーも多いわけですから。