いおりちゃんからの手紙
風子へ
医師国家試験合格おめでとう!
そして「腐ったみかんが医者になった日」に登場させてくれてありがとうね。よっぽど高校の先生に「腐ったみかん」と言われたのが悔しかったんやなぁ~。
今となっては、タイトルになってしまって、その先生には腹が立つけど、感謝しないといかんね(笑)。
私は、小学生の頃の風子がいつもお母さんに怒られ、毎日悔しそうな顔をしていたのを鮮明に覚えています。
風子が気づいたかどうかわからないけど、あの「悔しそうな顔」は昔の私と同じ顔だった。
今思えばあの表情は、世間に対する怒りの感情を子どもの立場でどう表現していいかわからず、もがき苦しむ様子を表していて、そしてそんな顔をするたび負の連鎖に陥っていく。そんな子どものSOSだったような気がします。
小学生の頃はほんといつも一緒にいたよね。
私たちは生きる環境に苦しむ子、という共通部分があったけど、内面は全く違った。私はどちらかと言うとユーモアというか、人を笑わせたり、その場を楽しく盛り上げたりするのが得意だったけど、勉強は全然だめだった。
風子は逆よね、おもしろいことを言う才能全くなくて(笑)、でも勉強は本当にすごかった。
確かに反抗してやらないからテストの点数はひどかったけど、勉強している姿、他のガリ勉とは雰囲気が全く違って、強い才能を感じていたし、そこがうらやましかった。風子も私に憧れてたって言ってたね。
一緒にいると楽しい、って。お互い求めるものとない部分が真逆だったから惹かれあってたのかな。
風子のお母さんに「風子の勉強の邪魔になるけ帰れー!!」って私がどなられたことがあったよね。あの時も風子すごく怒ってた。辛そうだった。私に申し訳ない、って。でも私はそう言われて当然だな、って思ったんよ。