社会的弱者はどのくらいいて、どのような境遇にあるのか(たとえばひとり親家庭は?)
厚生労働省の調査によれば、2018年の婚姻は約59万件に対して、離婚は約20万7000件である。
シングルマザーもシングルファーザーも子育てと仕事を両立できるような働き方を望んでいるが、それを実現することは男性稼ぎ主型の生活保障システムの中では、至難の業となっている。生物学的な理由によって女性だけが、結婚や出産によって、それまで享受していた何かを犠牲にしなければならないのは不条理である。
母子家庭になる過程には、男性の長時間労働も影響している。育児休業や育児短時間勤務等の制度が調っても、それを使って働き、子育てと家事、あるいは学校のPTA活動をするのも基本的には女性で、男性は遅くまで働くという社会慣行がある。子育てを支援する制度は、後述する愛着の重要性を認識するなら、育てられる子どもの権利だと捉えるべきである。
厚生労働省の「2019年国民生活基礎調査」によれば、2018年の相対的貧困率は15・4%、子どもの貧困率(17歳以下)は13.5%となっている。このうち、「子どもがいる現役世帯」(世帯主が18歳以上65歳未満で子どもがいる世帯)の世帯員について見ると、12.6%となっており、そのうち「大人が一人」の世帯員では48.1%、「大人が二人以上」の世帯員では10.7%となっている。
つまり日本のひとり親世帯の約半数が貧困家庭である。これらのひとり親世帯では、一回の病気で容易に生活保護以外の選択肢を失う可能性がある。
厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」によると、母子家庭(123.2万世帯)の81.8%、父子家庭(18.7万世帯)の85.4%が就労しているが、母子家庭では、正規雇用44.2%に対して、パート・アルバイト43.8%という状況である。
母子家庭では、母親の平均年間収入は243万円(うち平均年間就労収入は200万円)、同居親族を含む世帯全員の収入は348万円となっている。ひとり親家庭のうち生活保護を受給している母子世帯及び父子世帯はともに約1割である。