変化する加工立国

日本を支えた鉄鋼・自動車・電子電気・機械器具産業は、海外から安い材料を輸入し、国内外に付加価値をつけて販売してきた。

しかし、既に国内で飽和し、海外では価格競争力で敗退しつつある状況となった。

例えば、現在自動車は国内で500万台/年が生産され、その素材の多くが鉄鋼材料である。ところが、鉄を溶かすエネルギーは、鉄鋼の廃材スクラップを溶かすエネルギーの27倍である。

日本ではスクラップを原材料とする電炉メーカーの比率が3割であるが、米国では既に7割を超えている。日本の高炉メーカーは高価な石炭や鉄鋼石を輸入し、その鋼材を国内および海外に低価格を強いられながら輸出している。

明らかに加工立国の状況は変化しているが、その対策は遅々として進んでいない。

それでは、今後日本が目指す戦略は何であろうか?

周回遅れ以上の情報化社会

1990年代から、世界は工業化社会から情報化社会に転換しはじめた。

1976年創業のアップルは、時価総額が現時点でトヨタの8倍、2004年に創業したばかりのフェイスブックは、トヨタの2倍に達している。

日本の低迷の大きな問題が情報化社会への遅れにあることは明々白々である。もはや世界に比較して周回遅れ以上である。

例えば、政府や公共機関が、未だに20年前と同じように紙と電話・FAXや人力による事務対応に追われている状況が、今回の新型コロナウイルス禍で国民に露呈してしまった。

残念ではあるが、本件は今回の主題と異なるので、さらなる議論は別な機会とさせていただく。