筋持久力に及ぼすMAF(ミトコンドリア活性化因子)との効果
MAFを摂取した2型糖尿病モデルマウスは、10週間後にも元気に動き回っていましたが、摂取しないマウスは運動能力が落ちていることがわかりました。
この結果を見て、藤原隆史君はMAFが筋肉にも作用しているとひらめきました。
彼の直感から、筋持久力に及ぼすMAFの効果を江口友昭君が調べました。その結果を紹介いたします(『紅茶高分子量ポリフェノールはAMPKとGLUT4の間の関係を介して運動トレーニングによる筋持久力の改善を促進する』)。
MAFの効果にはミトコンドリアの酸素呼吸を活性化して、ATP産生を促す効果があります。
その結果、酸素呼吸の材料である酸素の消費量と糖と脂肪の代謝が亢進します。MAFが糖代謝や脂肪代謝を促進することで、血糖値の低下、内臓脂肪の低下、脂肪肝の予防効果が促されるわけです。
したがって、MAFには肥満、糖尿病、脂肪肝などの生活習慣病の予防効果があると考えられます。
これが、MAFの効果の1本目の柱です。
2本目の柱は、MAFの筋肉に及ぼす効果です。
筋肉には大きく分けて横紋筋と平滑筋があります。横紋筋には自由に動かすことができる骨格筋と、常に動き続ける心筋があります。
平滑筋は消化管や気道の内臓壁、血管壁などにある筋肉で内臓筋とも呼ばれます(『石井直方の筋肉の科学』)。
骨格筋は全体重の約40%を占めており、成人の安静時における代謝の約30%は骨格筋で行われています。骨格筋は摂取した糖のうち、最大で約8割近くを吸収しているので血糖調節の中心的役割を担っていると言っても過言ではありません。
したがって、骨格筋は私たちの体の代謝恒常性に重要な役割を果たしている組織です。