日本の医療の現状を理解しよう

日本の医師の仕事ぶり

他国と比較して、日本の医師たちは勤勉で、よく働くといわれています。

例えば、10時間以上に及ぶ手術の場合、日本では執刀医は代わりませんが、欧米では時間になると交代するというように、勤務時間とプライベートな時間をきちっと分けるようです。

一人の医師が長時間でも手術してくれるのは、伝達ミスなども減り、その先生に対する信頼が高まる一方、体力的・精神的消耗から、最高のパフォーマンスをしてくれるのだろうかという不安感も出てきますので、それぞれ一長一短かと思います。

一事が万事で、日本の医療全般において、他国と比較すると、良い言い方をすれば「最高水準の医療」、悪い言い方をすれば「過剰医療」であるところが、日々診療していて大いに感じられます。病院の勤務医は、通常、複数人の入院患者さんの受け持ち主治医になります。

そうすると、受け持ち患者さんの状態が悪いと夜間・休日を問わず、呼び出しがあったり、自主的に休日を返上して毎日病院に出勤したりする医師も多数います。映画にもなった『神様のカルテ』の主人公の栗原一止も毎日、日づけが変わるまで病院勤務し、患者さんの状態が悪いときは家に帰らず、病院に寝泊まりしていました。極端ですが、実際、そのような医師もかなりいます。

患者さんにとっては非常に喜ばしいことですが、反面、医師が無理していると、日常診療や手術などでミスが起こらないか、心配でもあります。私が研修医の指導医講習会に行ったときに、一人の医師から

「研修医には、自分を犠牲にして、他人の幸せを実現させる、いわゆる他己実現の精神を植え付ける必要があります!」

と教わりました。私にとっては、少し無理しすぎているのではないかと思われました。

たしかに日本では以前より医師不足が指摘されており、私が働いている地域でもそうですが、特に地域においては医師不足は深刻な問題です。私もときにはプライベートな時間を犠牲にして、救急患者の対応をすることもあります。

ただ、仕事が趣味のような医師を除くと、勤務時間外の時間が充実していなければ、「いい仕事」「いい診療」ができないのも事実ではないかと思います。

私は、医師というのは一つの職業であり、患者さんの修理屋と考えています。もう少し医師全般が柔軟な考えを持って患者さんと接していれば、「過剰医療」や「医療事故」も減り、最終的には「医療費削減」に向かうのではないかと思います。

※本記事は、2021年4月刊行の書籍『やぶ患者になるな!』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。