大きくなりすぎた広島市 土砂災害

土砂災害という観点から広島市周辺の丘陵地帯を取り上げる。記憶に新しいところでは2018年(平成30年)7月の西日本豪雨で土砂崩れや浸水による大きな被害が出た。

広島市では住宅地背後の山が崩れ、同時多発的に大規模な土石流が発生し多数の死者行方不明者を出した。また鉄道や道路などのインフラも大きな被害を受け、山陽本線も不通になり、区間ごとに順次復旧したものの、全線復旧には3か月も要した。

広島市周辺は地形や地質の関係で、一旦集中豪雨になると、大規模な土砂災害が発生しやすい。

このほかにも1999年(平成11年)、2009年(平成21年)、2014年(平成26年)と豪雨被害が連続して起きている。特に戦後の高度成長期に人口が急増し、すぐ背後に山があるようなところにまで多くの住宅が建つようになり、被害の規模が拡大している。

99年の土砂災害の後、土砂災害防止法が制定され、警戒区域を指定し、開発や建物構造の規制のほか移転勧告も出せるようになったが、実効があがらず14年、18年の同市の土砂災害を防げなかった。(図2)

図2:広島湾岸地域で明治・大正・昭和・平成に土砂災害が発生した渓流の分布

このように見てくると、広島はそもそも100万都市を形成するための地形的条件を備えていないところに無理に人が住んでしまったと言えるのではないだろうか。