一般論ですが、この場合、自分の評価は「高め」になる半面、他人からの評価は、「低め」になる傾向があります。この現象は、私が組織の中で仕事をしている時に、何度も体験したことでもあります。

では、不本意な結果を、どう受け止めるべきでしょうか。

少なくとも、40歳を過ぎたら、他人の評価には惑わされないほうが賢明です。何といっても、「上に行けば行くほど、好き嫌い」です。評価者の上司次第で、どちらにでも転ぶのですから、真剣に考える価値がありません。

東京大学医学部附属病院で長年にわたり救急部・集中治療部部長を務めた矢作直樹氏が、著書の中で次のように述べています。

「誰かに褒ほめられたとか誰かに嫌われた、その結果、嬉しかったとか悲しかったという感情が出てきたなら、自分に対する『外部評価』を気にし過ぎているということになります。人の心はコロコロ変わります。それを忘れないでください」(『おかげさまで生きる』矢作直樹著、幻冬舎、85頁)

「世の中にあるすべての評価は、所詮、誰かの思い込みです。

評価とはその程度の存在です。噂話やあることないことに振り回されることほど、バカらしいものはないのです」(前掲書、131頁)

会社から給料をもらっている以上、一定のレベルはクリアしていないといけませんので、その水準は超えているという前提で話をすると、少なくとも40歳を過ぎたら、自分の評価は自分でするべきでしょう。上司からの評価がどうであろうと、「自分自身の尺度」で、「自ら成果を判断」する必要があります。

尺度をどう設定するかは本人次第ですが、自分の身丈に合っていることが大切です。上司の評価に沿って、自分を変えていくのは、そう簡単にできることではありません。むしろ、ある程度の年齢に達したら、変えないほうがいいのではないかとさえ思います。

厳密にいうと、「今さら変えられない」といったほうが適切かもしれません。そのうえで、自分らしさを優先しながら、長所を生かしていくのです。

いかなる評価を受けようとも、「それはそれ」として割り切り、受け流すことができればしめたものです。良い時は浮かれることなく、悪い時は悲観せず、ありきたりであれば平然とやり過ごすのです。その後は、きちっと「自己採点」して終了です。評価をすべて他人に依存して、「魂を売る」ことだけはしたくありません。