仲間と居場所━━with my Ni**az

先ほどまで冷たく感じられた風が、とても気持ちよく肌を撫でている。

多少、酔いもまわったせいか、それとも少々ハイになったせいか、彼らはちょっとしたことでも大笑いをする。この瞬間だけはストレスから解放され、悩み事などすべて忘れてしまっているかのように無防備で、最高に陽気だ。

大木のようにどっしりとかまえ、口数の少ないドレッドがハイになり、仲間との会話にも積極的に加わろうとする。そして彼は目を瞑り、突然歌い出した。

「ドレッド、一体どうしちゃったの?」

私は左横に座っていたチョコレートの顔を見た。私たちは目が合うと、思わず吹き出した。ドレッドは歌い終わると、今度は大声でこう叫んだ。

「俺は女と金しか頭にねーんだ! 俺は女と金が大好きだー!」

私は彼の豹変ぶりに驚いたが、いつものことなのだろう。仲間はそんな彼を黙って見守っている。最初にスキンヘッドとチャビ、そしてドレッドの3人と出会ったとき、私はドレッドにとても興味をもった。

というのも、彼がスキンヘッドとチャビとは一線を引いているように見えたからだ。彼はカレッジに通い、国際時事問題について学んでいる。9.11や戦争、ブッシュ大統領やイラク問題について強い関心を持ち、私にも意見を求めてきた。

ドレッドがその話題に触れると、スキンヘッドとチャビは露骨に嫌がった。おそらく、3人は同じHoodで生まれ育った幼馴染みだろう。

ただ、ドレッドの生き方やその方向性が、スキンヘッドとチャビのものとは違うということに、それぞれが気付き始めているのかもしれない。

また、酒を買いに行ったときも、ドレッドは一人で「ここで待つ」と言った。それは彼が、その場所に行けば誰がいて、何が行われているのか、そして仲間が彼らとどのような関係であるのかをわかっていたからにちがいない。

「俺はニューヨークじゃなくて、マイアミに行きたい」。

ドレッドが再び叫んだ。誰もそれに対して反応しない。だから私は彼に尋ねた。

「なんで?」

「だって、向こうはあったかいし、セクシーでいいケツした女の子がたくさんいるんだ。みんなこんなに短いホットパンツ穿いてるんだぜ。ぜってーいいよ。俺はマイアミに行きたい」

「それが理由?」

「ああ」。

もっとまともな回答を期待していたが、やはり、ドレッドもセクシーでFat Ass(大きな尻)に目がない普通の若い男性であることがわかり、少しホッともした。

「トイレに行きたい」。

私はもう我慢の限界だった。

「してくれば」。

チャビとチョコレートがあっさりと答える。

「え? どこで? トイレどこ?」

「ねーよ。誰も見ねーからその辺の木陰でしてきな。嫌なら非常階段でしてこいよ」

「え? 嫌だよ、そんなの。無理」

「こえーなら俺がついてってやるから」。