西洋医学

・治療

症状をすみやかに抑えていく治療が主体となります。患者さんの状態を考慮し、内服薬と外用薬を決めます。アトピー性皮膚炎では主にガイドラインにしたがって治療が進められますが、近年その内容も充実してきており、薬物治療の他皮膚のケアや生活の仕方も重要視されています。

さらに、かゆみのメカニズムの解明が進むとともに新たな薬が開発されています。今後さらなる効率的な治療がなされるようになるでしょう。

・特徴

西洋医学では体質を改善するという考え方はないので、症状を抑えることが主体となります。

したがって発症したらすみやかに投薬して抑え、治まったら薬を中止するということを繰り返します。アトピー性皮膚炎では、最近はプロアクティブ療法として、皮膚がきれいになってからも外用を続け、その回数を減らしていく方法がとられることがあります。

ただし再発がないわけではなく、再発したらリアクティブ療法、つまりしっかりとステロイド外用剤などを塗布してまた寛解に持ち込むことになります。

西洋医学による治療の利点は、薬物の作用が強く確実なため、マニュアル化しやすいことです。また科学的な裏づけがあるため、患者さんも何のための治療かを理解しやすいでしょう。

逆に、医療機関の忙しさや、患者さんの治療に対する非積極性などのためか、薬やその使い方など十分に理解しないまま治療を続けている方も少なくないように感じます。

患者さんとのコミュニケーションを充実させ、出来るだけすみやかに寛解状態まで持っていき、それを維持し、より治療に納得がいくようにしていきたいものです。

中医学

・治療

中医学による治療では、大きく発作期と寛解期に分けて治療を行なうことが多いようです。発作期は基本的には西洋医学と同じで、主にひどい症状を除くための治療です。

しかし、ここでも患部の状況だけでなく体全体を見て対応することになります。一方寛解期はほとんど症状の出ていない時期で、いわゆる体質改善、つまりかゆみが生じにくい状況を作ることを中心に治療を行います。

例えば、アトピー性皮膚炎の患者さんは皮膚のバリア機能が低下していたり、体の代謝が悪いなど、かゆみを起こしやすい状況であるため、それを中医学によって解釈し根本から対処していくことになります。

また、生活の仕方(養生法)も大切で、治療中の服薬は生活の一部に組み込まれているといっても過言ではありません。

中医学には〝未病先防〟〝既病防変〟という考え方があります。〝未病先防〟とは病気になる前に予防することで、〝既病防変〟は病気になったら悪化していかないようにする、ということです。