第10話「決定的な出来事」
私は家を出る時に離婚届を書いて置いてきました。
夫は自分も書いて役場へ提出してきたと言いました。
そして空が卒業するまでの受業料を払うからと言いました。
あと、私の車のローンの事とか色々と電話で話しましたが、元夫はどうして私と空が家を出て行ったのか、いまいち分かっていない様子でした。
元夫にとってみれば、自分を捨てて出て行った私と空を悪者だと思っているのです。
だからもう二度と出て行ったりしないと約束したのに裏切り者やうそつきやとか何度も言われました。
私はしばらく考えました。
やっぱり元夫はかわいそうかな、でも空はもっとかわいそうに。
ひどい目に合ったんだよね、これで良かったんだよねとか色々考えて、気になって仕方無い日をしばらく過ごしました。
アパートに引っ越して、しばらく生活が大変でした。
冷蔵庫も何も無くて、お金がなかったので、一番安い冷蔵庫と洗濯機をとりあえず買いました。
届くまではクーラーBOXに飲み物を入れてスーパーで氷をもらって冷やして、おにぎりやパンを毎日買いに行くという生活を続けて、仕事の休みには銀行にカードローンを申し込みに行ったりとあっという間に毎日が過ぎて行きました。
冷蔵庫と洗濯機が届いた日は、私も空もやっと来たあと喜びました。
妹がその間に電子レンジや細々した物を届けてくれたりしていて、いつか返してくれたらいいからと本当に助かりました。
私も銀行カードを作れたので、何にも無い台所に食器棚と机とイスを買ったりして少しずつ生活しやすい様に物を増やして行きました。
カードの使用金額、支払金額を見て頭を抱える事になったり、空もバイトを始めて助けてくれたり、私と空の二人の生活が始まり、いよいよやっていかなきゃと私はよしやるぞ‼と意気込みました。
私は仕事をはり切ってしていました。
空はバイトに就職試験、自動車学校とものすごく忙しくなってきました。
私は空に何度も就職試験前はとても気を付けて、ケガとか絶対しないようにするんだよと言いました。
空もおっちょこちょいな所があって自転車でも何度も転んでけがをしているので、いつもよりも用心深く注意する様にと言い聞かせていました。
私が仕事を終えて家に帰り、夕飯の用意をしていると、空が帰ってきました。
見ると指にテーピングがしてありました。