俳句・短歌 歌集 2021.04.14 歌集「日々、燦々と」より三首 日々、燦々と 【第17回】 飯田 義則 50年近く弁護士として活動した著者の急がず、惑わず、実直に生きた78年間の人生が詰まった短編集。 先行きの見えない不況や震災などで何かと暗い話題が多く、希望や生きる活力が見いだしにくい世の中にあって、生きることの素晴らしさ、日々の美しさをもう一度気付かせてくれる短歌集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 十八夜 月の周りは ほの朱し 明日は雨かと 空を仰ぎぬ 黄葉が 紅葉とならずに 散りたれば 茂吉の歌碑に うべなひ寄りぬ 万象は くまなし冬の 星空を 仰ぎて独り 原点を想う
エッセイ 『59才 失くした物と得た物』 【新連載】 有村 月 結婚してから35年、「愛」はなくとも「情」は生まれる ダンナが死んだ―まさかの現実。自覚はなかったが、この時から私の「おひとりさま」は始まろうとしていたようだ。たしかにダンナは肝臓の数値が悪いと1ヵ月半入院したものの退院、体力も少しずつ戻りはじめ還暦祝の1泊旅行もし、そのたった1週間後にはこの世からいなくなるなんて、頭の中のすみっこにさえなかった事。よくいう野球の九回裏2アウトからの逆転満塁ホームラン的な。その1年半前、最愛の母が「くも膜下出血」で…
小説 『ネムとジド』 【第2回】 喜田 美樹 「やっぱり、うちじゃ飼えないよ。かわいそうだけど、ねているうちに、すててこよう」 そこで指に乳をつけてさしだすと、ぺろぺろとなめ、そのうちに、皿に頭をぶつけながら、なめだした。なめおわると、いねむりをはじめた。おしりがぬれて、水のようなうんちがでている。指でぬぐうと、母犬になめてもらったように、安心しきってねてしまった。ネムは子犬をだいて、ペチカ(暖炉)のわきの、ワラぶとんをしいた小さなベッドにいって、よこになった。夕方かえってきた、母さんのミレンカは、ネムをみておどろいた。…