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匿名への情熱
華々しく業務実績が評価される現場や営業などのライン部門に対し、補佐的と考えられる総務、経理、人事、財務、専門技術部門などのスタッフ部門の担当者は、何を仕事におけるモティベーションとすれば良いのでしょうか。
偏見かもしれませんが、スタッフ部門の担当者には、穏やかで処遇に不平を漏らさないタイプの人が多く、評価やモティベーションの問題が表面化しないだけのように感じられます。
それで良いのでしょうか。
仕事には2種類あります。指示や命令、発注と検収によってコスト、スケジュール、品質を管理できる仕事と、管理できない仕事です。
前者は、ルーティン・ワークや定型的作業などとも呼ばれます。後者には新事業の創出や課題発見などが当てはまるでしょう。この2つの間には明快な差がありますが、外見上は区別がつきにくい場合がかなりあります。
例えば、営業活動の場合、「今月中に100件廻る」ことを目標とすれば前者になりますが、「新分野の顧客を開拓する」ことを目標とすれば、後者になります。
しかし、上司や発注者は、「新分野の顧客を開拓する」では進捗を管理できないため、「新分野の顧客を開拓する」ことを目的として、とりあえず「今月中に100件廻る」定型作業に代用的に置き換えて指示します。
もしあなたが部長や課長などのミドルマネジメントを担う立場だったとして、社長から「新分野の顧客を開拓する」ことをミッションとして命令された場合、部下にはどのような指示を出すでしょうか。
「手分けをして新分野の顧客を開拓してくるように」指示を出せば、あとは部下の責任なので当面は心安らかになれるでしょう。
しかし、優秀な部下がいれば問題解決ですがそうでない場合は、「指示したことがまだできてないのか!」と叱責を強める以外にあなたにできることはありません。ブラックな職場の誕生です。
他方で、全員「今月中に100件廻る」ことを指示した場合はどうでしょうか。「いつまでこんなことをさせるのですか」と不満をぶつける部下からの報告を睨みながら、眠れない日々を過ごすことになるかもしれません。
この場合、あなたが成果への責任を一手に引き受けることで、部下たちは守られているのですが、部下からは無能な上司に見えるでしょう。