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相性と不祥事の連鎖

相性の良し悪しは、組織の至るところで、様々なドラマを演出します。実際に、昨今世間を賑わせている、大企業の不祥事にも垣間見ることができます。

不祥事の内容は、粉飾決算や品質問題など多岐にわたりますが、いずれのケースにも共通しているのは、長期にわたって、隠ぺい工作が行われていたという点です。しかも、おそらくは何らかの形で、企業の経営層が関与していたということです。

組織の中で仕事をしている限り、部下として、表立って拒否するのは、経験上もかなり厳しい面があります。何とかやりくりしようとしますが、コンプライアンス上、問題があればあるほど、ハードルは高くなります。「上からの指示」と割り切って、突き進む者もいれば、躊躇して、一線を画す者も出るでしょう。

最終的には、出世や昇格、昇給のことを考慮し、どこかで妥協点を見出しながら、やむなく対応してしまうのが、組織人の常なのかもしれません。

経営する側から見ても、目標を達成しないと、自分の地位が危ういと感じた時は、ことが強行突破に及びます。更に、一度手を染めると、今度は発覚を恐れて、表に出ないよう、内部で画策することになります。そこで、側近として登用されるのが、間違っても裏切ることのない、「安心できる部下」です。

登用された相性の良い部下は、その後も、高い評価を得て出世するわけですから、ますます「忠誠を尽くす」ようになります。逆に、自分に歯向かい、立場を危うくする可能性のある部下は、もともと考えの合わない人種でもありますから、必然的に、重要なポストから遠ざけたり、排除したりすることになります。

株式を公開している上場企業では、不正や不祥事が起こらないように、様々な仕組みが設けられています。外部監査制度は、ファイナンス面で生じる弊害を未然に防ぐための、外部チェック機能として、ビルトインされています(最近は、機能しないケースも散見されますが)。

加えて昨今は、コーポレートガバナンスの強化が叫ばれ、内部統制の充実や、社外取締役制度の導入も進んでいます。にもかかわらず、「不祥事」が後を絶たずに起きてしまいます。

この現象は、単純に経営能力とか、管理体制の問題としてだけで、片づけるわけにはいきません。どうも、会社組織の奥深くで息づく、「相性の良し悪し」が影響していると思われます。

場合によっては、「相性の良さ」が、不正の温床を招く可能性もあります。何といっても、「上に行けば行くほど好き嫌い」なのですから。そう考えると、「相性」という「化学反応の副作用」は、実に壮絶かつ激烈である、と言わざるを得ません。