相手の言葉も理解できないし、自分からも話しかけられません。ですから、何か物を欲しい時、あたかもクレーンのように相手の腕を取って物を取ってもらうように要求をします。

言葉で頼めないので、相手の腕をつかんで要求するしかないのです。知的な遅れがなく、多少話せたとしても、今日はお絵描きしたい、辛い食べものが苦手だという、細かな要求はできません。

どちらの場合においても旅行と同じで、そこにガイドがいれば楽なのです。要求を正確に伝えてくれるからです。ガイドが1年目だったら、お互いガイドブックを見ながらであまり役に立ちません。

それが10年以上のベテランガイドならストレスを感じることなく、いろいろなところを観光できたり、好きな物を食べられたりできるでしょう。

発達障がいのお子さんにとって、学校でのガイドの役割を担うのが、特別支援学級の担任、補助員、療育者たちです。

発達障がいを抱えたお子さんの机の隣にいてその子が離席しようとするのを止めたり、勉強のわからないところを教えたりしてサポートする役職です。

時には理解のある同級生がこの役を担っている場合もあります。ベテランガイドとは、発達障がいに十分な知識と経験(つまりセンス)のある方のことです。

発達障がいで悩んでいるお子さんがどうしたいかを、余裕を持って聞いてくれます。同時通訳のような存在で、そのお子さんの持っている力をすぐに引き出してくれます。

それらの存在によってお子さんのストレスは減っていきます。それにより、行動が落ち着き、周りが見えて、他の人の話も聞こえるようになり、コミュニケーションをする機会が増えるようになるのです。

そしてお子さんがストレスなく落ち着いて行動できることによって、親御さんのストレスも同時に軽減されるでしょう。なるべく多くのベテランガイドが、教育に関わってくれることを切に願います。