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時間と空間コストが消滅する

しかし今回の新型コロナで、企業の考え方が大きく変わりました。

デジタル技術の進展が、企業活動にわかりやすい形で登場したのです。オンライン会議です。

社員の出社や取引先への移動が難しくなった企業が、向き合ったのはオンライン会議でした。すでにスカイプなどで距離が遠く離れた者同士が、オンラインで話し合うことはずいぶん前からありました。

しかし、それが産業社会のインフラとして機能することはありませんでした。経営者は関心を持つことも、社内のインフラとして構想することもありませんでした。

オンライン会議を実施するのは、IT企業などの一部の業界に限られました。

しかし、今回のパンデミックによって全世界のしかも全産業が、オンライン会議について〝使える〟と感じオンライン会議が産業社会のインフラとして機能すると、どうなるだろうかと想像をめぐらしたのです。

そこで気づいたことは極めて合理性のある結論でした。

経営コストが劇的に下がるということでした。

1.本社の空間維持コスト(家賃)が劇的に下がる

2.社員の通勤コストがいらなくなる

3.出張コストがいらなくなる

4.瞬く間に会議が開催できる

5.海外出張コストも大幅に下がる

これら以外にもさまざまなメリットが見えてきました。そしてコスト面だけではなく、もっと大きな意味が浮上してきたのです。

働き方です。

私たちはイギリスで起こった産業革命によって、物質文明を享受してきました。いまは工業化によって先進国では欲しいと思ったものをほとんど手に入れることが可能になりました。

モノに満ちあふれた日本では、あなたはいま何が欲しいですかと問われたとき、答えられない人が多いのです。それほど豊かになったのです。

これほど多くのモノに囲まれていれば、発展途上国の人から見れば、日本人は幸せであるに違いないと見えるでしょう。しかし、ほとんどの人は浮かぬ顔をしています。