- - - - - - - ユア・ソング- - - - - - -

新百合ヶ丘駅の改札で、8:00に待ち合わせ。

本当に来るかな。

来た。

白地に青い小花柄のシャツに青いパーカーを羽織り、キュロットスカートに茶色のキャスケット。女子って、私服だとちょっと大人っぽく見えるんだよな。

「よっ」

「おはよ」

「おはよう。帽子似合うじゃん」

「ありがとう。帽子、好きなんだ」

ちょっと赤くなった。かわいい。

俺もTシャツにブルーのパーカー、ボトムは黒のジョガーパンツだ。

俺のと、サワの青いパーカーの色味が、偶然だがよく似ていた。

「ちょっと服、被ったね」

「やっぱり? そうだよな」

「あはは」

映画館で、飲み物とポップコーンを買い、開場時間になったのでシアターのチケットチェック入り口に二人で並んだところ、近くで「あっ!」と声がした。

振り向くと、スパイス・ガールズが4人、俺とサワを見ていた。

「おぅ」

声を掛けて手を振ったが、なんだか皆、ビミョーな表情だ。

ガールズはおそらくエルトン・ジョンじゃないよな。

ジャニーズが出てる系?

「じゃ、また」

俺は、サワの手を引いて、ロケットマンのシアター8に向かった。

「あ、ごめん」

「何?」

「手」

パッと離した。

「いいよ」

ダメだ。こういうとこが、きっとチャラいんだ。

観客は、どうみても俺らよりかなり年齢層が上。うちらの親ぐらいか。皆、半分より後ろに陣取り、前から5列目のど真ん中は俺らだけだった。

映画は、俺の予想と違い、ミュージカル仕立てで、台詞の途中で急に歌い出す場面があり、最初違和感があったが、その分エルトンの曲がたくさん出てきた。

そっか、ミュージカル仕立てだと、話の進行に曲をいっぱい使えるんだな!と納得し、だんだん違和感にも慣れてきた。