転生

転生は百年とも千年とも、またはその者が死んだ時と誰かが生まれた時が同じであればそれも生まれ変わりだと言われているが実際のところは定かではない。

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肉体が朽ちて灰になった後の霊魂の行方など知るものは誰ひとりとしていないのだから。

だから、誰かが情死してその頃双子が生まれるとその者たちの生まれ変わりだと信じられ、忌み嫌われる存在になってしまうのだろう。

江戸時代の心中は重大な犯罪であり、心中した者たちの遺体は墓に埋めることも許されずに晒されていた。

晒し、というのは人通りの多い場所で三日間晒されることである。

この時たくさんの人が晒されている者たちへ石などを投げるのだそうだ。

どちらか一方が生き残った場合でも殺人罪に問われ、処刑されていた。

二人とも生き残った場合は晒された上で非人手下となっていた。

非人手下――ひにんてした、とは恥辱罪で非人の身分に落とされ非人頭の支配に属する刑である。

つまりは身分が極端に落とされてしまうということだ。

私は江戸時代の刑法は知らないから御巫から借りた資料をペラペラと捲って見ていたら先のように記されていたのだ。

また、双子については同性の双子だと夜叉と菩薩の生まれ変わりだという説があるらしい。

兄、もしくは姉を【下の者を押しのけ先に世に出る鬼子】、弟、もしくは妹を【上の者に先に道を譲りし菩薩子】として位置付けていたのだそうだ。

異性、同性どちらにしろ、双子という存在は忌み嫌われるものだったのだ。

双子が生まれると家を守るという意識が強く根付いていた武士や商家では間引かれていたようだ。

間引く、というのは双子のうちどちらか片方を(あや)めてしまうことである。

だが、双子の赤ん坊が殺されてばかりいたかというとそうでもないらしい。

捨てられたりよそにもらわれて行ったり、ということも少なからずあったようである。