第13話 再会

虚しく感じる拍手であった。シマは壇上から控室に戻った。

「この後、休憩をはさんで、各テーブルを回って懇談してもらいます。ご存じかと思いますが、政財界、芸能界の重鎮の方ばかりなので、くれぐれも粗相のないように」

家具屋の忠告にシマは憮然としてライターを取り出し、とりあえず一服した。

「総理、面会の方が……」

「総理は忙しいんだ、後にしてもらえ」

女性係員の問いに、慌ただしくしている政府関係者の男性が応える。

「あのー、豊日自動車の鈴木だといえば分かると……」

なおも女性係員は伝える。

「スズキ……」

シマは驚きを隠せない。

「あの低公害自動車を造った、豊日自動車の鈴木社長か?」

家具屋は長い髪をかき上げながら言った。