猫座敷の裁判
「まあ、わかりにくく言いますと」
「わかりやすく言ってください」
「そうするとショックが大きくなり、あなたの順応が遅れます。だから遠回しに言います」
「はい」
体に力が入らないまま言った。
「あのね、若者は永遠に年を取らないと思っているでしょ? 若いときそう思ったことはありませんか?」
「あるかもしれませんが何の関係が?」
「ここからが本題です。年を取る以前にね、もっと考えていないこともあるでしょう。その先にあるものです」
と言ってメタタアコは言葉を切り自分をじっと見た。
その時に一気に記憶が戻った。黒煙、まるでジェットコースターに乗った時のような彼女たちの悲鳴、あいつらあの状況ですら楽しんでなかったか?
それから山の中に飛び去って行きあっという間に遠ざかっていく後ろ姿。何という素早さ、身体能力の高さ、逃げ足の速さ、あいつらもしかして忍者の隠れ里の出身じゃなかったのか? それで医学や薬学をまなびに――。
頭の中でいびつな走馬灯がぐるんぐるんと回っている。