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猫座敷の裁判
なに、相手はただの猫じゃないか。自分にいいきかせる。
よくみると二人は小さい、とても小さくておびえている。なんだか逆に可哀そうになってきた。
「なあ、俺もなにもしないから座ったら」
声をかけてやるとすとんと座った。
「名前は?」と聞くと、
「わたしはにゃーはん」
「わたしはにゃーてい」
「めずらしい、名前だな」
と言うと二人は顔を上げた。目がキラキラ光っている。
「この名前には、秘密があんのじゃ」
「知りたいか?」
二人は身を乗り出して言った。「知りたい」思わず答えたのはそう言わなくてはいけない雰囲気だったからだ。
「ほんとはこーじゃ」
机の上に紙を広げた。
そこには、
ニャー飯
にゃー定
と書いてあった。定食屋のメニューみたいだなと思ったが言わなかった。そういえばチャーハンばっかり食べている奴がいたな。
誰だっけ?
「メタコタがかいてくれたのじゃ」
「これが正式な名前じゃ」
二人は嬉しそうに言った。
「ふうん、それでおとうさんというのは誰だ」
自分は尋ねた。
「おとうさんはおとうさんじゃ」
「優しい人じゃ、わしらにあんなにやさしくしてくれたのはあの人だけじゃ」
「いやねえさんもいる、あとパンのにいさんもじゃ」
二人はにゃあにゃあと騒ぎ話し出した。話は猫文法なのでわかりにくい。