出会い

伊藤の研究はAIが人間の脳と同様に考えることができ、自立で思考を行なえるようにすることである。感情を持ち自ら学習し、そしてそれを必要に応じて応用する。そんなコンピューター、いわゆる人工頭脳の開発である。

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学究肌で必要な金のことには全くの無頓着、研究しだすと他のことには全く気が向かない性格で、コンピューターシステム会社の研究所で1人孤独に研究に没頭していた。

伊藤が研究費に行き詰まったとき、堀内に研究費の相談をしたが当然堀内も金のことは全くの無頓着、そこで堀内は伊藤をいつも資金援助してもらっている織田に紹介した。

その後、織田は伊藤や堀内を我が子のように可愛がり、彼らの研究費を援助していたのである。

一銭にもならないロケットの研究と、人と話すこともない孤独人間、2人とも織田から研究費の援助がなければ生活すらできない、似た者同士の貧乏研究家である。堀内と伊藤はいつも経済的にお世話になっている織田が入院したことを知り、病院に見舞いに出かけていった。

堀内と伊藤が病室で織田と話をしている。話は研究の内容ばかりで、とても見舞いに来た人の話ではないが、この人は世間話の仕方もわからない研究馬鹿であるから仕方がない。

織田も研究の状況や熱心に話す内容に大きくうなずきながら関心をもって聞いていた。