俳句・短歌 句集 四季 2021.02.08 句集「抱く」より三句 句集 抱く 【第27回】 松永 みよこ ―春― 身に余るミモザ抱えて人を待つ 猫の恋吾よりいくばくかは清く ―夏― 膝頭抱いて鎮まぬ青嵐 幸せを温めなおす五月かな ―秋― 千の菊抱きてあまりにも一人 りりりるり鈴虫まねてけんか終ゆ ―冬― 雪うさぎ今消えゆきし身を抱き 酉の市ちがう男の手も温し 平成の句姫、みよこの初句集を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 夏木立かきわけ君の顔のぞく 美しき母が売りたるかき氷 夏の野やいっせいに泣く子どもらよ
小説 『再愛なる聖槍[ミステリーの日ピックアップ]』 【新連載】 由野 寿和 クリスマスイヴ、5年前に別れた妻子と遊園地。娘にプレゼントを用意したが、冷め切った元妻から業務連絡のような電話が来て… かつてイエス・キリストは反逆者とされ、ゴルゴダの丘で磔はりつけにされた。その話には続きがある。公開処刑の直後、一人の処刑人が十字架にかけられた男が死んだか確かめるため、自らの持っていた槍で罪人の脇腹を刺した。その際イエス・キリストの血液が目に入り、処刑人の視力は回復したのだという。その槍は『聖(せい)槍(そう)』と呼ばれ、神の血に触れた聖(せい)遺物(いぶつ)として大きく讃えられた。奇跡の逸話(…
小説 『赤い靴』 【第11回】 高津 典昭 暴れたい放題のDV父と同じ屋根の下、家を出ずに就職すると言う娘。その理由は、母を守りたいから… それこそ東京都立太洋高校じゃなくても、本土の高校ならどこでも良かった。「恵理、あなたには、島外で青春を謳歌してもらいたいのよ。いつまでも沖ヶ島にいちゃ井の中の蛙大海を知らずになっちゃうから。お母さんはどうしても高校進学してもらいたい」「私、この島が好きなの。この島から離れたくない」「どうして? 私が言った通りにしなさい。後で気付いても遅いのよ」「大丈夫。お母さんは心配しないで」智子は、自分の家の…