また、いじめをなくすには、周りで見ている子の存在も重要です。よいことをしないのは、結果として悪いことをしているのと同じだと教えましょう。
悪いことを見て見ぬふりをするたびに、心の人間らしさがどんどん失われていきます。いじめと戦うことは、自分自身の心を救うためでもあることを教えてあげなければならないのです。
しかし、いじめの状況は千差万別です。その場で止めることができればよいのですが、それが難しければ、後で声をかけたり、信頼できる大人に相談したりしてもよいことを伝えましょう。「あなたの味方だよ」と伝えるだけでも、いじめられている子からすれば、大きな力になります。
いじめについて私の妻が話してくれたことがあります。
「中学生のとき、一番仲のよかった友達がいじめのターゲットになったんだけど、自分は勇気がなくて守れなかったんだよ。自分がいじめられるのも怖かったし……。まぁ結局ターゲットは自分のところにもまわってきたけどね。今でもあのときのことを後悔している。当時の先生も、明らかにその子がひとりぼっちになったのはわかっていたはずなのに、声をかけてくれるでもなかった。人のせいにするわけじゃないけど、そんな自分に気づいて間違いを正してほしかった。今の中学生には、一生後悔するから、友達がいじめにあったら、助けてあげてって伝えてほしい」と。
被害者も加害者も周りの人も、誰も幸せにしないいじめは、絶対になくしていきましょう。あなたはなぜ学校の中でいじめが起きると思いますか。そしていじめの被害者を減らすために必要なことはなんだと思いますか。