京都府
酷暑無双 二〇一六年八月
西陣の街中華
母校の大学の近く、京都御所蛤御門(はまぐりごもん)前のホテルを今夜の宿とした。チェックインして、しばし休憩の後、日が暮れてから、夕食を摂りに西陣の繁華街へ。
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清少納言は、「夏は夜、月の頃はさらなり」と言っているが、確かに月が出ると外気も昼間とは打って変わり慈愛に満ちたものとなる。
学生時代の通学路である一条通を女房と辿る。怪奇学園と名付けた美術学校、コールタール状の漆黒の油でコロッケを揚げていた肉屋、老眼の店主が客の髪を不揃いにカットしていた理髪店、両親から二度とこの店の餅を土産に買ってくるなと叱られた和菓子店等、懐かしい建物が姿を消している。コンビニ、コイン駐車場、ドラッグストアがそれらに取って代わっている。
ワンルームマンションが、懐かしい風景の墓標のように建っている。