「どうしてメデューサだって分かったの?」
そう聞いてきたタクに、ミコトはポケットからラーの鏡を取り出して見せた。
「なるほどね……。」
その泉には、辺り一面に深緑の薬草や毒消し草が覆い茂っていた。この透明度の高い、綺麗な水のお陰でよく育ったようだ。ミコトはそれらを摘むと、小さなかばんいっぱいに詰め込んだ。
泉を出て、森の中で大分時間が過ぎた頃、タクはようやく異変に気付き始めた。何だかさっきから同じ場所をグルグル回っているような気がしたのだ。
ミコトもやはりそのことに気付いていた。タクの持っている時計も、方位磁石も狂っている。どうやら、ここは磁場の狂う場所らしい。
「戻ろう!」
タクはすっかり冷静さを失い、慌てていた。だがミコトは、こんな時でも落ち着いている。道を歩きながら、ナイフで木に目印までつけて来ていたのだ。
「タクさん、このままではやがて日が落ちます。夜になれば、凶悪なモンスターも出て来るでしょうし、やみくもに歩き回るのは危険です。今夜はこの近くで、休める場所がないか探しましょう。」