Slime Slime Slime
「その鏡! それ、どこで手に入れたの⁉」
タクの様子が明らかにおかしい。なにやら怯えているようだ。
「タクさんに会う前に立ち寄った神殿の中ですけど、それがどうかしましたか?」
ミコトは多くを語らなかったが、その鏡をタクにそっと手渡しして見せた。
(この紋章……。間違いない! これは、ラーの鏡だ‼)
ラーの鏡とは、真実の姿を映し出す鏡のことだ。大きさこそ違っていたが、タクが見間違えるはずはなかった。
(何故ミコトがこの鏡を持っているんだ? ラーの鏡は確か、ライオンの頭を持つ神が守っていたはずだ。恐ろしさのあまり、その場所には誰も近づくことすら出来ないと聞いていたが……。まして、鏡を手に入れるなんて……。)
ラーの鏡をミコトに返すと、タクは怪訝そうな顔でミコトを見つめていた。
「ミコト、君は一体何者なの?」
ミコトは、その問いかけに何も答えず、黙って静かに微笑むだけだった。
教会を出ると目の前には、一面に青々とした草原が広がっている。これから二人は旅に出なければならない。そのためにはモンスターと戦い、経験値を増やさなければいけないのだ。
しかし戦いにおいて、ミコトは全くの初心者だ。恐らく戦いの経験は、ほとんどないだろう。タクは勝手に、そう思い込んでいた。