Slime Slime Slime

確かにミコトとタクの住んでいるこの世界は、最近おかしい。人々は笑顔を忘れ、心は固く閉ざされている。

世の中には犯罪ばかりが増え、そこら中にモンスターがはびこっていた。タクもそんな世界を、何とかしたいと思っていたのだ。

「そう言うことなら話は別だ。ミコト、俺も一緒に行くよ。女の子一人で行かせるわけにいかないしな。少しは役に立てるだろ。」

タクの瞳はとても優しかった。

(ミコトがもし本当に真の勇者なら、暗黒の王と戦うのは当然だ。なら一緒に戦うのは俺の役目だしな。確かめるのは先の話だ。)

半信半疑であったが、タクは何故かとても嬉しかった。誰もが自分のことばかり考える世の中で、こんなに若くてか弱そうなミコトが、女でありながら他人のために戦おうとしている。見上げた根性だ、そう感じたのだ。

二人は酒場を後にすると、近くの教会へと向かった。戦いに出る前に神前で祈りを捧げる、それがタクのお決まりの儀式である。教会の中に入ると、タクはため息をついた。