そしてミコトに自分の戦い方を見せようと、颯爽とモンスターの群れの中へと一人で入って行った。自分からは何も言わなかったが、タクは伝説の戦士と呼ばれるほど、剣の腕が立つ。あっと言う間に数匹のモンスターを軽々倒し、ミコトのところへ戻って来た。
だがその時、ミコトは地面にしゃがみ込み、足元にじゃれついてきた一匹のスライムと楽しそうに遊んでいた。タクはその様子を見てガックリと肩を落とした。自分の戦う姿を見て、ミコトに戦い方を知って欲しかったからだ。
(今の戦いは無駄だったか……。まぁ、最初に説明してなかった俺も悪かったしな。)
タクはミコトに気付かれないように、小さなため息をついた。ミコトは、そんなタクの様子を察し、さすがに悪いと思ったのだろう。すぐさまスライムに別れを告げると立ち上がった。
「只今のタクさんの戦闘値。攻撃力540、素早さ369、得意技……。」
あろうことか、ミコトはスライムと遊びながら、タクの戦い方、能力、その他もろもろを細かくしっかりと記憶していたのだ!
「ミコト……、いつの間に?」
(これが真の勇者、ミコトの本領なのか?)