「でも、どうやって?」
「決まっているだろ、やばい奴らに、まとめて流すんだよ」
「やばい奴ら?」
「そうだ、やばい奴らだよ」
それを聞いた禅は黙り込んだ。そして、剛史が付き合っている人間を考えると、それが暴力団だという事は察しがついた。
「俺の知り合いに、この辺を仕切っている暴力団の幹部がいる。その人が悪いようにしないから、まとめて流さないかと言ってきているんだ」
「………」
「暴力団に知られた以上、シャバ代を払わないといけない。まさか警察に助けを求める訳にはいかないだろ?」
「確かに……」
“暴力団が気付いているなら、警察が気付くのも時間の問題じゃないのか?”
そう考えている禅に、剛史が言った。
「細かく売るより、一気に売った方がリスクも少ない、その方が楽だぜ」
確かに剛史の言う通りだと思った。
“ネットで個人に売っても、どこで足が付くか分からない。しかし、まとめて、その筋に流せばリスクは軽減されるのではないか?”
そう安易に考えた。
「今度、その人に会わせるから」
そう言って剛史は笑った。禅は黙ってうなずいた。