二十日の日曜になった。私は電話で知らせた通り、午後一時に神矢のところへ行った。マフラーは帰りに渡す事にし、まず、裸になり、モデルになった。

久しぶりだったが、会えば、いつも通りで、神矢は優しかった。脱ぐのは四回目だが、やはり恥ずかしかった。神矢も、初めて見るような目で、私をまぶしそうに見た。

「僕は幸せ者だよ。君の一番綺麗な時を、こうして独占しているんだから」
「なら、どうして自分の物にしないの?」
「何度言わせるんだい。愛しているからだよ。……抱けば、別れられなくなる。だが、いつか別れはくる。……そのあとを、君を淋しい女にしたくないんだ。僕は風来坊だからね」
「私も貴方と同じに、定まらない女よ。抱かれたって、淋しい女になんかならないわ。きっと……」
「セックスを知らないから、そんな事が言えるんだよ。君はなんて天真爛漫なんだ」
「私、結婚なんてしないわ。母を見てきたもの」
「君のお母さんは今どうしてるの?」
「再婚したわ。父親のちがう弟がいるみたい」
「会ってないのかい?」