神矢は全部、綺麗に食べてくれた。私は、片づけをし、キッチンの流し台で、洗い物をした。
その間に、神矢はコスタリカコーヒーを淹れてくれた。洗い物が終わり、二人で又ダイニングのテーブルについた。
「食後のコスタリカは最高ね」
「君の料理が美味しかったからだよ」
「そう言ってもらえて、本当にうれしいわ」
「今日は本当にご馳走様。……だけど、僕に尽くすのは、これきりにしてくれ。冷たいようだが、期待を持たせたくない。僕は、家庭の幸福というものを望んでいない。いや、逃げているのかもしれない。だが、だからこそ、アグレッシブに生きたいんだ。うまく言えないが……自家用車を持てなかった青年が、夢と希望と冒険心を胸に、飛行機に乗って、世界中を旅するみたいに、家庭の平和を知らない僕は、世界の平和を追い求めて、ジャーナリストになったんだ。この世界で役に立てる自分でありたいと思っている」
「貴方の夢を邪魔する気はないわ」